Saturday, December 26, 2009

今年のなんでもベスト10 第4位はやっぱJB!

今年のなんでもベスト10、第4位は、やっぱJB! ということで、JBとはJoseph Beuys。

ヨーゼフ・ボイスといってもいまや知らない人も多いのではないでしょうか。ドイツの現代美術家で、1921年生まれ、1986年没。wikipediaの紹介はこちらを。

実に国内ではひさしぶりではないでしょうか、水戸芸術館で「Beuys in Japan:ボイスがいた8日間 」を開催中です。なんと生涯たった一度だけ、しかもたった8日間の来日をメインに据えた展示。それは1984年のことでした。国内のボイスコレクションも多数集めた展示、当時のドキュメントになっているビデオ上映などは非常に興味深いです。

ぼくは11月15日のシンポジウムにあわせて観にいったのですが、シンポジウムが13時過ぎからということで、肝心の展示を観るのが駆け足になってしまいました。とはいえ、1月後半までやっているのでもう一度ゆっくりといくつもり。

そのシンポジウムですが、どこにも話題にならなかった通り、時間の制約がありすぎてシンポジウムになっていなかったのは残念でした。各出演人の意見の表明だけで時間が来るとは。ちょっとツラインダ。毛利さん、木幡さんなど注目していただけにさらに。

レネ・ブロック氏(I Like America and America Likes Me / 私はアメリカが好き。アメリカも私が好き。が行われたNYのギャラリーオーナー)がボイスの最後の作品について、「わたしは血まみれだがわたしは笑う」(だったと思う)語ったのが印象的。

ボイス作品は難しいととらえられがちだけど、そんなことないと思うんだよなぁ。かなりダイレクトだよ。単純にまずかっこいい。作品の持つ力が非常に強力で、その背景を知りたくなる。

ともあれ、ヨゼフボイスはわたしの中で非常に重要な作家。それに久々に出会えたことは幸運でした。水戸芸、サンクス。



Friday, December 25, 2009

今年のなんでもベスト10 第5位は岸田衿子さん

今年のなんでもベスト10 第5位は岸田衿子さんとの邂逅です。

もともと、岸田さんフリークのカワグチタケシの影響もあり、岸田さんの詩集はたびたび読み返し、そのうまくいえない魅力を強く感じていました。子どもが生まれて、絵本をやたら買うようになっても、岸田さんの書かれた絵本をとても楽しく読み聞かせをし、また、息子も喜んできいていました。

今年の8月頃でしょうか。カワグチタケシと酒を飲んだ際に、僕たちなりのトリビュート企画ができないかという話になり、それならまずは岸田さんにしよう、ともりあがり、その後紆余曲折はありましたが10月後半に無事「EVERGREEN KNEE-HIGH REVUE」を古書ほうろうさんで行うことができました。出演者はダブルタケシと石渡紀美さん。

TKレビューはダブルタケシの頭文字がたまたまTKだったので、その略字をゲスト出演者に考えてもらうという趣向があり、たとえば第3回は「TUTU KALEIDOSCOPE REVUE」だったわけですが、今回はエリコ キシダなので「EKレビュー」、Eは主催者(ぼくたちです)の意向により「EVERGREEN」、Kを考えてよ、と石渡さんにふったら「KNEE-HIGH」という言葉が出てきたのでした。とてもいいタイトルで、気に入っています。だれもこの背景はわからなかっただろうけど。

ぼくは岸田さんの詩集「あかるい日の歌」からと、絵本をリーディングしました。じつはこの詩集は、以前一度お目にかかったときにサインをいただいたものです。(自慢)2、3年ほど前、地域雑誌「谷根千」さんの企画で岸田さんと奥本大三郎さんの対談を横できくことができ、その内容に抱腹絶倒でしたが終了後に図々しくも岸田さんにサインをいただいたのでした。うれしかったなぁ。

あと、ぼくは岸田さんのお父さんの岸田國士さんの書かれるものも大好きで、戯曲も一時凝って読んでいました。北村想さんのプロジェクトナビがやった「岸田國士戯曲SHOW」は忘れられません。ぼくが唯一みた岸田さんの戯曲の舞台化であり、レベルはもちろん相当すぐれていました。

今回のイベントをきっかけに岸田さんの詩をもう一度読み返し、あらためてその魅力を認識しました。モダンでありながら自然と調和している、不思議な魅力です。

今回のイベント企画の会場となった古書ほうろうさん、そして岸田さんとのつながりを支援してくださった谷根千工房さん、ゲスト出演の石渡紀美さん、そして岸田衿子さんに感謝します。ありがとうございました。

P.S. 先日保育園のバザーで朝六時から炊き出しを行い、ぼくは火の番をずっとしていました。薪の燃えるにおいが翌日になっても服に残り、それをかぐたびに岸田さんの詩を思い出しました。

※ダブルタケシとは、ぼくとカワグチタケシが一緒に詩の朗読を行う時のユニット名。サイトはこちら ダブルタケシプロダクション

Thursday, December 24, 2009

今年のなんでもベスト10 第6位はレナード・コーエン2作。

今年のなんでもベスト10、第6位はLeonard Cohen LIVE IN LONDON、LIVE AT THE ISLE OF WIGHT 1970

LIVE IN LONDONは、2008年7月にロンドンO2アリーナで行われた2枚組ライブ。DVDと二つのフォーマットで出ましたが、ぼくはCDだけ買いました。
1934年生まれですから、75歳のニューアルバムです。この歌唱が本当にすばらしい。一曲目の「Dance me to the end of love」から鳥肌が立ちます。ぞわぞわと!後半の「ハレルヤ」「I tried to leave you」などまで、大満足の一枚(二枚組ですけど)です。

これだけでもすごくよかったのに、年の後半に出た「ワイト島フェスティバル1970」が、またすごかった。これは、CDとDVDのセット販売なのですが、DVDがなんというか、こんなの残っていたの!というおどろきと、歌唱のすばらしさでなんで今まで出ていなかったの!というものです。コーエン35歳。夜中の2時に出てきて、60万人の聴衆を前にうたうコーエン。ひとことひとこと、言葉が伝わるように語りかけるコーエンに、それまでチケットトラブルで騒然としていた聴衆は聴き入ります。
マジック!

今年でたCDで、ベストです。すんばらしい。


こちら2008年。


こちら1970年。どちらもすばらしい。

Tuesday, December 22, 2009

今年のなんでもベスト10 ベスト7は「幼女と煙草」

第7位は「幼女と煙草」つっても小説です。今年早川から出ました。著者はブノワ・デュトゥールトゥル。舌を噛みそうな名前ですが、本国では既に有名。日本ではこれが初の紹介。1960年生まれのフランス人。

こうした小説は最近あまり読まれないのか、出版される数も少なくなってきているように思う。一言でいえば風刺の効いた寓話だけど、もっと大きく、不条理小説といっていい。もっと、いい話や壮大な活劇はまだ出版されているのに。小粋でブラックな不条理小説を!と思ったのでした。

タイトルから連想して買うと痛い目にあいます。

今年のなんでもベスト10 ベスト8はジェフ・エメリックとリボルバーとレノン。

ああ、あっという間に22日。今年中にベスト1までいくために、少しスピードアップを。


第8位はジェフ・エメリック「ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実」関連を。
この本は面白かったなぁ。2006年に出たときには知らなかったのだけれど、新装版で9月に出たのですよね。ぼくは10月頃に読みました。

ジェフ・エメリックはレコーディング・エンジニアです。15歳にしてロンドンのEMIスタジオ(つまり、アビーロード・スタジオ)のアシスタントエンジニアになります。そのとき、ちょうど1962年頃。デビューしたてのザ・ビートルズを16歳が間近にみたのですから興奮しないわけはないです。

ちょうど二十歳頃、ザ・ビートルズは「リヴォルヴァー」のレコーディングに取りかかり、そのチーフ・エンジニアになります。そこで彼は実力発揮、それ以前とははっきり違うサウンドをザ・ビートルズにもたらします。次のサージェントペパーでもエンジニアを続け、さらに発展したサウンドをつくりますが、ホワイトアルバムでは途中で降板。ま、その辺りは本を読むか、wikipediaでご覧ください。

なにが面白かったかというと、青春の興奮ですね。毎日のわくわくがつたわってきて、こちらもうれしくなります。また、ぼくはときどきサウンド&レコーディングを買うのですが、こうした機材話、出来上がったサウンドだけではなく、そのサウンドがどのようにつくられていったか、という話がとても好きなのです。ああしたディストーションはどのようにするのか、ハイハットはなぜか硬く聞こえるのか、そうした秘密が満載でした。

そうすると、当然レコードが聞きたくなります。ぼくが持っているのは旧版CDですが、それで十分ですね。久々に通して聞きました。タックスマンのギターがやっぱり一番かっこいい。ほかも、ギターとドラムの音がとてもかっこいいです。引きしまっている、タイト。

でもでも、リマスターはバラでモノラルをだしてくれたら、何枚か買います。お願い!

ですがですが、ザ・ビートルズはそのぐらいにして、ジョン・レノンを再度聞き込んでしまいました。なぜでしょうね。MIND GAMESを、車の中でヴォルームをあげて聞くと、泣けてきました。

Sunday, December 20, 2009

加藤和彦

「加藤和彦 ラスト・メッセージ」を読んだ。帯にある「青春、音楽、趣味的生活のすべて」は、少々大げさ。なぜなら、音楽史については半分以下も語っておらず、趣味に関してが半分かそれ以上を占める。もっともっと語ってほしいことは多くあるのに。
とはいえ、自死を選んだ加藤和彦の気持ちの一端は、あらわれていると思う。正直に書くと、自分にもそうした思いはある。だれにもあるんじゃないかな。この本を読んで、そうした自分の本心に戸惑った。

トロさんの考え方

トロさんのメルマガより。
テーブルに本を積む。
コーヒーをポットに作り、『したいことはしたくないー植草甚一の青春ー』を
午後1時半までかけて最後まで読む。
新潮社で2200円するソフトカバーってことは発行部数が少ないのだろうが、
値段設定に何の不満もない。この値段でいいから、きちんと売り、読者に届け、
赤字にしないでくれればいい。そして、メジャーブランドである新潮社が、
これまで晶文社あたりが作っていたタイプの本を出してくれれば
読者としてもありがたい。
地味だけど実りのある出版事業って、そういうものだろうと思う。
編集者の多くが者を離れてしまった(つうかリストラされた)晶文社は
もうそういう事業展開をしないだろうからさ。
ほとんど同じ考え方なのでここに掲載。
なんというか、しっかり作ってくれた本はわかる。
この日、トロさんと長電話していたのだけれど、
目を覆ってばかりではつまらない。
雑誌づくりにもできるだけ協力しようとおもった。

今年のなんでもベスト10 第9位は Sonic Youth "Eternal".


Sonic Youthは昔から好きでよく聞いていますが、今年出た最新作「エターナル」はひと味違う傑作でした。音がいいのです。メンバーそれぞれの特性がもっともよくでていて、タイトな引きしまった音響が、すばらしかった。最近、音楽を音響や鳴りなどからみる(きく)ようになってきて、これはおくれてきた音響派?とにかく、印象に残った一枚でした。