Friday, January 8, 2010

新たな傑作 高野文子 しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん

今日、本屋さんでみつけて目を疑いました。
こどものとも年少版、2月号が、高野文子による「しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん」という絵本だったのです。
こどものとも年少版とは、福音館がだしている絵本で、基本的には毎月一回、定期購読のかたちでこどもたちに届けられる絵本です。ぼくの息子が通う保育園でも保育園経由で毎月おくられてきます。こどもは本当に楽しみにしています。こどもの年齢により年少版、年中向き、などがあります。
うちのこどもはもう4歳なので、年少版はとっていなかったのですが、たまたま家の近くで書店販売しているお店があり、そこで知りました。

高野文子の新作としては久々ではないでしょうか。しかも、こうして絵本のかたちとして出版されたものは記憶にないです。Wikipediaにものっていないし。
それがいきなりの新作絵本ですから、あっと驚いたのもむべなるかな。表紙がこれまた、一目見てわかる高野文子!

どきどきしながら読みはじめます。おはなしはひとりのおとこのこの心のつぶやきからはじまります。
「しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん あさまでよろしくおねがいします あれこれいろいろたのみます」こどもがねむる頃です。こどもはしきぶとんさんとかけぶとんさんとまくらさんにいろいろたのみます。
たとえば、しきぶとんさんに「どうぞわたしのおしっこが よなかにでたがりませんように」

この飛躍はすごい。だって、しきぶとんにお願いしてどうなることでもないじゃない!と、大人のあたまは考えるのですが、いえいえいえ。しきぶとんさんはこたえます。「まかせろ まかせろ おれに まかせろ」ええー、まかせていいの!
「もしも おまえの おしっこが よなかに さわぎそうに なったらば・・・」つづきは絵本でみてみてください。

このように、おとこのこはしきぶとんさんとかけぶとんさんとまくらさんに頼みごとをし、みんなそれに応えてくれます。それが、それぞれとてもユニークなやりとりなのです。

絵のすてきさ、その絵の配置と文字の配置はもちろんですが、全体をとおしてのリズムが一番すごいとうなりました。別にうならそうとしているのではないと思いますが、言い換えるのであれば、いま風邪で寝るしかないうちの子が、いちど読みおわるや否や「もういちど読んで」といい、それを五回もくり返したのです!そんなことはいままでなかった。どんなにお気に入りの本でも。それほど気に入ったのでしょう。

色もすごいすてきです。最小限の線と、明るい気持ちになるような色。はぁーとため息が出ます。

絶対安全剃刀を高校で読んでからのファンですが、これはまた新しいフェーズにはいったような気がします。あまり人のことを「神様」だとか「天才」だとかはいいたくないのですが、あえていいます。これはすばらしい傑作です。

また、絵本には小冊子「絵本の楽しみ」がついているのですが、そこにある「作者のことば」もすてきです。編集部だよりによると、5年前に依頼の手紙を書き、2年後に返事とラフがきて、それから3年かかっての出版だったようです。

新年のなによりのプレゼントになりました。絶対推奨絵本。

追伸:このようなすばらしい絵本を出版されて、福音館はやはりすごい出版社だと思いました。そして同時に「今月のご案内」をみて、「たくさんのふしぎ」最新号の案内がのっていて、この件はやはり残念だと思ったのでした。そのままだしてほしい。

Monday, January 4, 2010

クリスマスの思い出


photo by michikazu