Saturday, February 27, 2010

うまくはいえないかもしれないけれど

大江健三郎の本を品だししました。それで、その本の紹介に書こうと思ったんですが、ちょっと筋が違うと思い、ここに書きます。が、うまくいえないでしょうきっと。自信があります。困ったことに。

品だしをしたのは、1992年に講談社からでた「僕が本当に若かった頃」という短編集。わたしは大江健三郎はいつも興味がある作家ですが、すべてを読んでいるわけでも主要作すらあやしいものです。ただ、この本が出たときは大江健三郎の名前はまだまだ力があったと思うのですが、いまや、客観的にみて社会的な力は当時よりかなり少なくなってきています。そのことです。

最近「水死」という新刊がでました。「みずからわが涙をぬぐいたまう日」という昔の作品が重要になっているのですが、品切れ重版未定だそうです。同じ講談社なのに。

大江健三郎の作品が変容し、力がなくなっていったため、社会的な力もなくなり、端的にいえば人気作家ではなくなりつつあるのでしょうか。いや、違うでしょう。作品自体の力と社会的な力はここでは関係がないと思います。作品自体は力強く、クオリティも昔より上のはずです。しかし、社会的な力はなくなっていく。作品が社会と切り離されて評価されるのは、追悼特集でまともに取りあげられるのを待つしかないのでしょうか。

社会が変容していることは当たり前ですが・・・ほら、うまくいえない。そんな日もあります。社会的な、時間的な力ではなく、作品そのものの力をもっと見据える目を持ちたいです。

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